鉄骨製品ができるまで
2026/01/22
鉄骨製品ができるまで
~1つの案件の工程を追うドキュメント~
1. はじめに
鉄骨製品と聞くと、「大きな建物に使われる骨組み」というイメージがあるかもしれません。しかしその一つひとつが、図面、材料、加工、組立、検査といった多くの工程を経て作られています。
今回は、ある中型倉庫向けの鉄骨フレームを例に、鉄骨製品が完成するまでの工程をドキュメント形式で追いながら、鉄工所の仕事の全体像をご紹介します。
2. スタートは「図面」から
2-1. 受注と打ち合わせ
建設会社からの依頼を受けて、仕様書と簡易図面を確認
用途、設置場所、強度要件などをヒアリング
現地調査を行い、寸法や周囲の状況を確認
2-2. 設計と構造検討
CADで詳細図面を作成
梁、柱、ブレース、基礎プレートの構成を検討
必要に応じて構造計算を実施し、過不足のない設計へ
3. 材料手配と入荷検品
3-1. 鋼材の選定
主に使用するのはH鋼、角パイプ(STKR)、チャンネル材など
耐荷重や施工性に合わせて材料を選定
3-2. 入荷と検品作業
材料が納入されたら、寸法・本数・ミルシート(品質証明書)を確認
変形や傷の有無をチェックし、保管エリアに分類
4. 加工工程
4-1. 切断(マーキング→切断)
図面に基づいて各部材に切断位置をマーキング
バンドソーやガス切断機を使ってカット
4-2. 開先加工・穴あけ
溶接部にV字型の切り込み(開先)を加工し、強固な接合を実現
ボルト接合部にはドリルやボール盤で正確な穴あけを実施
4-3. 仮組み・調整
仮溶接でフレームの仮組みを行い、精度を確認
歪みや角度のズレをこの時点で修正
5. 本溶接と仕上げ加工
5-1. 本溶接作業
アーク溶接や半自動溶接(MAG)を用いて本接合
強度が必要な箇所は多層溶接を実施
5-2. 研磨とバリ取り
溶接後のビードを滑らかに研磨
エッジのバリや突起もグラインダーで除去
5-3. 表面処理(塗装・メッキ)
亜鉛メッキや錆止め塗装を施し、耐久性を向上
色指定がある場合はウレタン塗装や焼付塗装を採用
6. 検査と出荷準備
6-1. 寸法・外観検査
設計図との一致を確認(誤差±2mm以内など)
溶接不良や歪み、塗装ムラの有無をチェック
6-2. ボルト穴位置・仮組立検証
部品同士を仮組みして、組立誤差がないか確認
必要に応じて現場職人とのすり合わせを実施
6-3. 梱包・出荷
鋼材に傷がつかないよう養生材で保護
トラックへの積み込み順序も現場の組立手順に合わせて工夫
7. 現場搬入と据え付けサポート
鉄骨フレームは現地へ搬入され、建方(たてかた)作業へ
必要に応じて、現場での立ち合いや微調整にも対応
まとめ
鉄骨製品は、単なる“鉄のパーツ”ではなく、
綿密な設計と高精度な加工、丁寧な仕上げと検査
を経て、一つの「構造体」として完成します。
このように、1つの案件には多くの人の技術と想いが詰まっています。
鉄工所の仕事は「ただの鉄加工」ではありません。お客様の期待に応え、安全と品質を形にする、誇りある仕事なのです。